歴史研究家になりたいグウタラ願望の社長のブログ

文具・事務用品・OA機器・スチール家具などを扱う、株式会社マルハチの社長、八木幹雄のブログ。

第29話 しょっぱいおにぎり

本日3回目の更新です。

引き続き

大学時代の心に残るチャレンジの旅を書いてます。

歩き始めて4日目、朝豊橋の円忠寺を出発し長篠方面への道は



豊川と並行した道でした。

この辺りになると、道の両サイドには田んぼや畑しかなく

だだっ広い見通しの良い道で

店や住宅、建物は遠くの方に見えるだけ

扇状地の要の方に向かってますので

徐々に遠くの山が近くになってきます。



ここまでの道のりは決して楽なものではありませんでしたが

何とか車とか乗り物に乗ることなく、歩き続けてますが

さすがに、5日目で足も限界に近づきつつありました。

それまでの道は、歩道で多くの人とすれ違ってましたが

昨日からはすれ違う人もまばら

そして、この日に至っては、交通量が多い幹線道路でしたが

店もなければ人もいない

朝からほとんど人に会っていない状態!!

台風が去り、空は青空で澄み渡っていましたが

私の気持ちは、だんだんどんより気味

寂しいもんですよ・・・・・・・・

そして、道の分岐に差し掛かりますと

そこにある石碑がありました。



だーれも居ない、その石碑の前の道ですが

車はひっきりなしに通ります。

話す相手もいなく、ザックを下ろしそれに腰掛けながら

石碑を見ると「和泉式部」が歌った歌の石碑でした。

でも私には、そんな事どうでもよく

内容も覚えてません!

この日は特に暑く、30キロの荷物を背負いながらの歩行は

暑さとの戦いであり

寂しさとの戦いでもありました。

少し早いかとは思いましたが、ここで昼食をとることにしました。


朝、円忠寺さんのご住職の奥さんから手渡された笹の葉で包まれたおにぎり弁当を食べることに

笹の葉を片方ずつ開くと、最後の笹の葉の上に一枚の一筆箋がありました。

その紙には短くこう書かれていました。

「あなたの旅が最後まで無事終わりますように 円忠寺」と

・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザックに座り下を向きながら、その文章に目を通し終わる前に

何故だか目からぼろぼろと、涙がこぼれてました。


・・・・・・・・・・・・・・・・

しょっぱい涙交じりのおにぎりを頬張りながら

自分のこの旅は

自分だけの物じゃなく

協力してもらっている多くの方々の思いも背負っているんだ!

と改めて感じ、足の痛みもふっと消えた、いや忘れた様でして

この後、黙々と長篠方面に向け歩き始めたのでした。


このおにぎり弁当は一生忘れません!



つづく