歴史研究家になりたいグウタラ願望の社長のブログ

文具・事務用品・OA機器・スチール家具などを扱う、株式会社マルハチの社長、八木幹雄のブログ。

第48話 真夜中の赤い車

本日8回目の更新です。

大学時代の心に残るチャレンジの旅を書いてます。

本日は、この旅の歩き始めて7日目の出来事です。

この日はこの旅最大の難所である山越えです。

愛知県の鳳来寺から、静岡県天竜二俣への山道は予想以上に長く

本来予測したコースタイムを大幅にオーバーしていました。

もう歩き始めて、16時間以上

山の中は、真っ暗闇で、時折暴走して走り去る車に轢かれる危険を冒しながら

天竜二俣市の町へ歩き続けましたが

町の明かりは確実に近づいているのですが

全く、集落に出る気配はありません。

私のまわりだけ時間がゆっくり動いている気がしてました。



既に、足は限界を超えており

気力だけで足を動かしていまして

自分自身を奮い立たせるためもあってか

歌をずっと歌ってました
。(確かサザンだったと思いますが・・・)

そんな時、一台の車が私の後方から走ってきて

私を追い越したと思うと、急に止まりました。


それは、赤いスポーツカーでした。

一瞬、暴走族か何かで襲われるのかと警戒しました。

「歩いて旅していた大学生が、山中で追いはぎに合う」
なんて記事の見出しが頭によぎります。(笑)



しかし、降りてきたのは30前後の男性で

「こんな時間に、こんなところで何してる?」

とが声をかけてきました。

どうやら襲われる心配はなさそうだと

いつもの様に歩いて旅している旨を伝えますと

「いいから乗ってくれ!」と逆に頼まれました。

お気持ちだけ受け取り、丁重にお断りしましたが

男性は

「お願いだから、乗ってくれ!」

と無理やり私のザックを下させ、車の後部に入れ

私を自分の車に乗せたのでした。



車中で愛知県の熱田神宮から歩いてきた話をすると

驚くどころか、大笑いしはじめまして・・・・・

「お前も、俺と一緒でバカだな!

俺も学生時代、スポンジひとつで旅したもんだ!

スポンジがあれば、洗い物をさせてくださいと

泊まり歩けたんだぜ!」


と話し始めました。

私のあの重いザックをヒョイと持ち上げたときにも思ったのですが

自分と同じ匂いがした同類だったのです!

「それで、これからどこへ行くんだ?」

と訊かれ

「岩水寺から天竜二俣城です。」と私が答えると

「じゃあ逆方面だな!そこで降りてくれ!」

分岐で下されました。

「じゃあな!気を付けて最後まで諦めるなよ!」

と浜松方面に去っていきました。

時間にしてわずか5分程度だったと思いますが

歩いての5分と車の5分では進む距離は大夫違いました!

予期せぬお助けで岩水寺の分岐道には着きましたが

既に0時を回っており、天竜川の大橋を渡り



天竜二俣城本丸に、たどり着いたのは夜中の一時過ぎでした。

朝歩き始めてから18時間が経っていました。

7日間も歩き続けた後の、18時間連続歩きですから

もう、体はくたくた!

暗闇の中テントを張るのが精いっぱいで

空腹よりも睡魔の方が勝り

夕食も作らず、すぐに爆睡しました。



今考えると、この日の行動は

無謀の一言に尽きますが

今では良い思い出です。



続く