歴史研究家になりたいグウタラ願望の社長のブログ

文具・事務用品・OA機器・スチール家具などを扱う、株式会社マルハチの社長、八木幹雄のブログ。

文具業界空中戦



20年位前に、日本は米国からの規制緩和、市場開放を迫られました。

この影響は、我々文具業界にも多大な影響を与えました。

当時、世界的に文具の通販を行っていた、オフィスデポ等が日本に進出する事になったからです。

業界では、この黒船来航に先立ち、当時のプラス株式会社の今泉社長が

アスクル」という文具事務用品通信販売事業を起こしたのです。

今泉社長の考えは、当時国内の文具販売会社を守る為、アスクルがユーザーに直接商品は送るのですが

代金回収や新規開拓は既存の国内販売店にエージャントとして行ってもらうという協業の姿勢です。

このシステムは今も変わらず、存在しています。

しかし、当時の販売店からは、なかなか理解がされず、

アスクル憎し!」の大合唱でした。

なぜ、我々既存の販売店を飛ばし、直接ユーザーに商品を納めるのか?

そのような考え方が多かったのです。

そんな中、当社は、このアスクルを採用し、エージェントとなりました。

当時、社内でも反対意見は根強いものがありました。

私やアルバイトでローラー的なポスティングをすると、既存のユーザーにも通販の案内が行きます。

すると担当営業から「既存のユーザーには、案内はしないでくれ」との苦情も多かったのです。

しかしながら、そんな事はお構い無しに進めた結果、多くの既存ユーザーがアスクルを利用し始めました。

ただ、社内の納得やその後の事を見据えて、既存ユーザーのアスクル売上は、すべて

担当営業マンの実績につけてあげました。

ほとんどのエージェントで新たな部署「通販部」が立ち上がり

既存外商部や店頭小売り部とは別部署となっていた当時としては、

通販売上を既存各部署に付けてあげるなど、馬鹿らしい話とも言われましたが

実際それまでの文具事務用品売上にお茶など生活雑貨の売上が付加されて

今まで月に10万ほどの売上ユーザーが20万になり

担当営業がビックリするなどしばしばで

徐々に各営業マンからのアスクル通販への支持が高まり

今では、当社にとって重要な物となっています。

こんなアスクルに対し、業界トップシェアのコクヨ

対抗すべく「カウネット」という通販を立ち上げ

プラスのPとコクヨのKとの一騎打ちということで

PK合戦などとも呼ばれました。

しかしこのPK合戦は、どちらも一般文具店の手の届かないところで行われているとして、

「空中戦」とも呼ばれました。

空中戦は、文具や事務機器のノウハウも要らず、開拓やら投資などが中心だとして、営業マンなどのマンパワーは、不要なものだ!とも思われがちですが、そんな事はありません。

そもそも、空中戦とは人間が住む陸上の制威を目的とした陸上戦を優位に運ぶ為

制空権を確保する為の戦いであります。

ドイツが第二次世界大戦の初期に行った電撃戦は、

陸上の快足戦車部隊と空からの支援の空軍部隊の連携があっての話です。

湾岸戦争時のアメリカ軍も「エアランドバトル」といって

空地統合戦を展開しています。

通販がいかに、能率よくまた効率的に運用されても

最後はやはり人間が関わります。

お客様が機械ならシステム通販で事足りますが

お客様は、人間です。

やはり最後は、賞品知識豊富な営業マンの出番なのです。

私は、通販には肯定的な考えなのですが

デジタルだけでなくアナログも必要だと考えます。

双方のよいところ(効率と人間コミュニケーション)を融合した

デジタルとアナログの協業こそが、

我々文具業界の生き残る道なのではないかなと考えています。