歴史研究家になりたいグウタラ願望の社長のブログ

文具・事務用品・OA機器・スチール家具などを扱う、株式会社マルハチの社長、八木幹雄のブログ。

克己心

本日3回目の更新です。

すっかり春めいてきましたね!



昨日、学生時代を思い出させる事がありましたので、学生時代のお話です。

大学2年ぐらいだったか2月に四国に春を探しに行ったお話です。

2月と言うと、寒さが底冷えする時期ですが、例のごとく一人歩き旅をする為

東京からフェリーに1人ザックを背負い、乗り込みました。

翌朝、高知に上陸し高知県を北上し徳島、香川、愛媛と時計の逆周りのお遍路ウォークの予定でした。

この時期、野球チームが南国土佐でキャンプなんかしてるじゃないですか

そこで、暖かいイメージの春の四国を歩いて回るたびです。

高知上陸後の初日、35キロのザックを担ぎながらそれまでの最高記録である1日58キロの歩行距離を歩ききり、ある無人の神社の祠の前でテント生活をしました。

初日の高知県は、だだっ広い土地が続きましたが、2日目の徳島への道のりは、山間部の谷あいの道で、片側は川の断崖の道が続きました。

店どころか民家もまばらな山道ですが、脇には、鉄道も通ってます。

ただ日が暮れると、電灯も無く、ヘッドランプを頭に付け、予備のランプをザックの後ろに付け、時たま通る自動車に轢かれないようにしての旅でした。

春を探しに来た旅立ったはずですが、山間部で標高も高いせいか夜になるにつれ徐々に冷え込んできました。

ラフティングでも有名な大歩危小歩危(おおぼけ・こぼけ)に近づき、


土佐岩原という山間の駅の駅舎で2日目の野宿をしました。


ここの駅舎は無人駅だったと思います。

誰もいない駅舎の中でテントは張らず、寝袋にもぐりこみました。

妙に寒かったのを覚えてます。

翌朝5時ごろ、騒がしい物音で目が覚めました。

人なんかいなかった駅のホームの方が騒がしい!

寝袋から外を眺めると、そこは一面の銀世界でした。

四国も山間部は雪が降るのです。

それも膝まで届く大雪でした。

昨日までは、雪どころか山肌がはっきり見えていたのに

一晩でここまで積もるとは、・・・・

線路では、JRの職員が一所懸命除雪中でした。

作業している人に

「四国ってこんなに雪が降るんですか?」とたずねると

「何十年ぶりの大雪だよ!徳島の池田まで大雪で列車も不通だよ!」

と教えてもらい、途方にくれました。

なにせこっちは春を求めて来てるんですから

冬山の恐ろしさは良く知ってましたし、雪山装備はすべて置いて来てます。

でも、ここまで来たのだから進みたいと

迷っていると、当時の彼女(今の家内です。)が見送りに東京港に来てくれた時に渡されたお守りが目に入りました。

「困ったら中開けてね!読めないかもしれないけど」と言って渡されたお守りでした。

開けてみるかと、中をごそごそ探ると

「克己心」とだけ書いてありました。

恥ずかしながら当時意味も分からなければ、読めもせず

キッコシン?ん?・・・・・・・・

分からない時には人に聞く性格ですので

駅にいる人に「これなんて読むんですかね?」と聞くと

「コッキシン・・・自制する心だよ」と教えてくれました。

なるほど、無理しちゃいけないなと思い

ここから先は行っちゃいかんと考え、高知までの折り返し運転の電車に乗り、高知から飛行機で家まで戻ったのです。

中途半端な旅でしたが、私にとっては、勇気ある撤退という貴重な経験でした。